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マイケル・J・フォックスが吼えた! カジュアリティーズ 2008 077
カジュアリティーズ Review ブライアン・デ・パルマ監督×マイケル・J・フォックス異色の組み合わせが,気になりました。デ・パルマ監督は,サスペンス好きの僕には敬愛する尊師の一人です。今作では360度カメラワークなどの癖を見せずに,ひたすら真剣です。この【カジュアリティーズ】を境に監督のカラーが,薄まりアクが,無くなったような?
二人のエージェントが,同じということでコラボが実現したようですが,監督とすれば当時【バック・トゥ・ザ・フューチャー3】の公開前で全盛期のマイケル・J・フォックスのネームバリューにも期待してたんでしょうか。マイケル・J・フォックスも軽い路線の映画が,続きイメージの払拭を期待していたようです。しかし誰が何と言おうが,自分の信念で走るクリーンな兵士エリクソン役は,以前の役柄と大きな差違は無い感もありますが,熱のこもった演技が,ミスマッチをカバーしたように思えます。
それに加えてショーン・ペンの危ない糞ったれ軍曹振りが光ります。ショーン・ペンは,イカレタ男を演じさせたら傍目に殺したくなるほど嫌なオーラを出すように感じます。
ベトナム戦争時に長い偵察ミッションの際に従軍慰安を理由にベトナム人少女をさらい欲望を満たした上で殺害するという愚かな行為の実話でドキュメンタリーにない凄惨さを感じました。
常に殺伐とした戦闘状態にさらされ続ける前線の兵士の精神状態は,崩壊寸前。しかもベトナム戦争は,アメリカ人にとっては政治的思惑の戦争で住民も,敵であるベトコンを匿い,前門の虎,後門の狼と最悪な状態で戦争は激化,兵士のモチベーションも下がっていたんでしょう。そこに外出禁止令が発令されストレスは頂点に達して悲劇が巻き起こったようですが,理由にはならないですね。
5人の偵察ミッションメンバーの中で唯一良識を失わずに反対を繰り返したエリクソンですが,押し寄せる濁流を押し戻すまでは至らず,もどかしい。
少女の悲痛な叫びと恐怖に染まりながらも何かを訴えかける表情には,名優ショーン・ペンも顔負けでしょう。更に少女の断末魔にはアカデミー賞をあげたいくらい。
おぞましい行為を止めることが出来なかったエリクソンですが,まだ配属されたばかりの新兵が,地雷により一つの命を落としながらも冷笑や罵声さえ飛び交う周りの冷淡さに驚愕し同じく一つの命を落とした少女の死と重ね合わせ強烈な違和感を感じ生まれた疑問
常に死の影が付きまとう戦場でも,何をしても許されるのか?
『死に瀕しているからこそ自分を冷静に見つめ直さなければならないんだ!』という魂の叫び,答えの重さが印象的でした。
結局は大半の兵士が命のやり取りに対して無頓着で場慣れし過ぎで人間のモラルなどは環境により流されてしまうようです。
自分が,この状況に置かれたら果たして少数派にいられるのかを考えさせられる映画でしたね。
私的評価Good STORY 74年、ヴェトナム帰還兵のエリックンン(マイケル・J・フォックス)は、電車の向かいに座るアジア人の女学生の姿に思わずハッとする--66年、ヴェトナムの戦場にいたエリックソンは敵の掘ったトンネルに落ち、身動きできないでいた。そんな危機一髪の彼を救ったのは上官のミザーヴ軍曹(ショーン・ペン)だった。それから間もなく帰還間近の無線係ブラウン(エリック・キング)が狙撃され死んだ。怒りに狂う仲間たちは、手当たり次第にヴェトナムの村人を射殺した。
CAST ブライアン・デ・パルマ 監督
デヴィッド・レーブ 脚本
マイケル・J・フォックス (エリクソン)
ショーン・ペン (ミザーヴ軍曹)
ドン・ハーヴェイ (クラーク)
ジョン・C・ライリー (ハッチャー)
ジョン・レグイザモ (ディアズ)
テュイ・テュー・リー (オアン)
原題 CASUALTIES OF WAR 上映時間 114分
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Date : 2008-05-17 (Sat)
Category : 映画 ドラマ