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主(神・夫)に捧げる愛 奇跡の海 2008 074
奇跡の海 Review ラース・フォン・トリアー監督の『
黄金の心 』三部作の最初の作品です。章仕立てで挿入される美しい映像美と音楽はコーヒーブレイクに最適です。サントラが欲しくなりました。わざわざ手持ちカメラの意味は機械的では無く人間の目線で見せたかったのでしょうか。
とにかく善悪問わずに純粋で悲惨な女性を皮肉たっぷりに描くのが巧い監督ですね。多分嫌悪感を抱く方も多いことを想像します。
この物語は,純真無垢なベスと彼女が見つけだした最愛の男ヤンの究極的愛情表現の顛末が生々しく表現され,彼らを取り巻く厳格なプロテスタント信仰が根強い人々の心と信仰とのギャップも純真が故に内在しるベスの心の神と共に巧みな描写に映りました。
信仰とは本来は,道徳や理性を確認する一部だと思われるのですが,ベスにとっての主は,まさに奪い与えるという神の奇跡の具現化で,それは己が心の鏡。望んだら相応の代償を支払わなければならないルール。誰が何を叫ぼうと,あくまでも貫き導きに従う姿は,生贄を連想させ悲劇的で痛々しい。ラース・フォン・トリアー監督は犠牲や自虐は,永遠のテーマなのでは?
僕には,病床で横たわるヤンの言葉も死にかけた男の苦し紛れの戯言では無く天空からの啓示と捉えたいです。彼にもベスを解放したい善意も見受けられましたし絶望的状態で微笑もなかなか出来ない。偏見をものともせずに,ベスの全てを引き受けたのは男気も感じます。この辺りは,女性から見ると真っ向から反対されそうです。
義姉の信仰や血の繋がりを跳ね返す愛情も素晴らしいです。厳しい言葉を投げ掛ける人物こそが本当は,思ってくれているのでしょうね。
大空に浮かぶ鐘の音は,ベスの善意が報われた証明と彼女の行き先の暗示と素直に解釈したいです。
マリアナ海溝よりも深い映画ですので,覚悟が必要です(*^ー^)ノ
私的評価very good STORY 北海に面したスコットランドの村。ベス・マクニール(エミリー・ワトソン)は北海油田の労働者ヤン(ステラン・スカルスゲート)と結婚する。ベスの義姉ドド(カトリン・カートリッジ)やヤンの同僚たちは心から祝福するが、ここは厳格なプロテスタント信仰が根強い排他的な土地。教会の長老たちなどは白い眼を向ける。幸福に満ちた新婚生活も束の間、ヤンは油田に戻らねばならず、残されたベスは彼からの電話だけを楽しみに生きる。休暇まであと一週間、ベスはヤンを早く戻して欲しいと神に祈る。
CAST ラース・フォン・トリアー 監督・脚本
エミリー・ワトソン (ベス)
ステラン・スカルスガルド (ヤン)
カトリン・カートリッジ (ドド)
ジャン=マルク・バール (テリー)
エイドリアン・ローリンズ (リチャードソン医師)
サンドラ・ヴォー (ベスの母親)
原題 BREAKING THE WAVES 上映時間 158分
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Date : 2008-05-11 (Sun)
Category : 映画 ドラマ
Tags : 黄金の心