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今宵,裁きの炎が巻き起こる ドッグヴィル 2008 064
ドッグヴィル Review ドッグヴィルという小さな山間の村で人間の救いがたい狂気を軸に展開するサスペンス。まるで広大な倉庫の床にドッグヴィルの見取り図を描き建物など余計な概念は削除。あくまで人間中心の構図は初め違和感も,程なく抵抗が無くなり,情報を最低限に制限し想像力を引き立てる良いアイデアだと思いました。
グレース(ニコール・キッドマン)は,誠意をみせるなんて大義名分のもと村人に奉仕。
村人が,少しずつぬるま湯に浸かるにつれ,
都合のいい女とか,一人メイド喫茶のような存在に,
最終的に奴隷扱い,これは酷い。一人位は,少数派に回ればいいものを
頑ななドッグヴィルの住民に美しく謎めいたグレースは,刺激が強すぎたのか,黒船来るの当時の日本人のように余所者を受け入れる余裕が無く,さらにコミュニティーの中で弱者を見つけ優位性と支配欲を剥き出しにした,どす黒い精神の住民は自称哲学者のトム風に言えば人間の愚鈍さと残酷さの実例でしょうか。人間の内に秘めた狂気の描写は【es】に近いものがあります。
グレースの行った行為は,復讐よりも浄化の意図が強いように思えました。肉欲が強い男達には,そんな欲望など微塵も感じさせない次元に追いやり,盲目の男には,皆と等しく永遠の暗闇へと招いた。焦土と化した大地には,やがては野生のグズベリーが生い茂るかも知れない。天罰にも裁きにも似た極めて清らかな行い。そこに行き着くまでグレースは,許しに許した訳で,行使する力を正当化する土壌は,あったと思う。その点で子沢山のヴェラに痛烈に借りを返したのは,グレースが初めて見せた黒い衝動で作品のバランスを崩したように見えて蛇足気味。これはグレースも,他者と変わらない罪深い人間であるとの暗示というのは考え過ぎでしょうか。
この答えは,【マンダレイ】にて明らかになってます。
天使か悪魔か純真か傲慢か。
願わくばドッグヴィルの住民の二の舞にはなりたくないものです。
グレースが,ある日突然に現れたなら,がっちり守るか。さっさと突き放すか
2つに1つです!
身近に,いるかも知れませんよ,グレースタイプが・・・・
私的評価very good STORY 山あいの小さな村ドッグヴィルにひとりの女・グレース(ニコール・キッドマン)が逃げ込んでくる。どうやらギャングに追われているらしい。村一番のインテリを自負し、人々を正しく導くことに情熱を燃やすトム(ポール・ベタニー)は、素性の知れない彼女をかくまうことを住民たちに提案する。グレースを受け入れる条件は、2週間で彼女が村人全員から気に入られること。閉鎖的な人々と打ち解けようと、グレースは肉体労働を申し出て必死に尽し始める…。
CAST ラース・フォン・トリアー 監督・脚本
ニコール・キッドマン (グレース)
ポール・ベタニー (トム・エディソン・ジュニア)
クロエ・セヴィニー (リズ・ヘンソン)
ローレン・バコール (ジンジャー夫人)
パトリシア・クラークソン (ヴェラ )
ベン・ギャザラ (ジャック・マッケイ)
ジェームズ・カーン (大きな男)
ステラン・スカルスガルド (チャック)
ジャン=マルク・バール (大きい帽子を被った男 )
原題 DOGVILLE 上映時間 177分
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