429
善き人のためのソナタ 2008 040
善き人のためのソナタ Review いつの世にも権力にあぐらをかいて好き放題やらかしてくれる便所バッタやウジ虫は存在するものです。社会主義下の東ベルリンにおいては,腐っても大臣は務まるんですね。鼻息は荒そうですが嗅覚だけは,いっちょまえに鋭く困ったものです。それでも汚い手は使っても捏造で刑務所にぶち込むまでには至らないのが,この映画の面白さでしょうか?捏造されたら,即終了になってしまいますんで。
外国映画賞を受賞してから,何度となく店頭で見かけたのですが,借りなかった訳は,ジャケ写を見る限りヘッドホンをしている男が映っていて音楽系の映画かと勘違いしてました…
それで回避してたのですが皆さんから薦められて借りて観たら切なさと人間味溢れるドラマで素晴らしいです! キャスト的にも【
ブラックブック 】に出演した俳優が登場してるのも馴染みがあって良いです。
人間,家の中では周りを気にせずホット一息つきたいものですが,それすら許さぬ東ベルリンの秘密警察,壁に耳あり障子に目あり部屋に盗聴器ありでは,迂闊な行動は危険ですね,西側の話題を出そうものならば逮捕されますから家よりも外の方が安全なんて馬鹿な現象が起きてしまいます。それ以上にプライベートが無いのはキツイ。夜の生活まで盗聴されるのは地獄でしょう~。盗聴のみで盗撮されないのが唯一の救いですが。
それでも,監視対象の劇作家ゲオルクを張り続ける百戦錬磨の諜報員ヴィースラーが,初めは美しく才能に溢れる女優クリスタと交際し自分に無い才覚を持ち合わせるゲオルクに僅かながらも妬みとか嫉妬の炎を募らせてるように感じましたが,彼等を監視続ける内に愛情に,ほだされて思想や葛藤などを聴き感じる内に自らも危険をかえりみず共鳴し同調してしまうヴィースラーに人間味と,やがて訪れる変革の波を感じました。
終盤は,権力に打ちひしげられ過ちと分かりつつも最悪な方向に流されるクリスタが哀れでならない。ヴィースラーの自己犠牲の行動も半分は空虚に終わってしまいますが,彼はゲオルクもクリスタも助けたかったのでしょう。
ラストのゲオルクが事件後初めて書き下ろした本の巻頭の一文を読み,『これは,私の本だと』本屋の店番に話すヴィースラーとゲオルクとの決して触れ合わない友情に感動です。
私的評価very good STORY 1984年、東西冷戦下の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。成功すれば出世が待っていた。しかし予期していなかったのは、彼らの世界に近づくことで監視する側である自分自身が変えられてしまうということだった。国家を信じ忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通して知る、自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。ふたりの男女を通じて、あの壁の向こう側へと世界が開かれていくのだった…。
CAST フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 監督
ウルリッヒ・ミューエ (ヴィースラー大尉)
マルティナ・ゲデック (クリスタ=マリア・ジーラント)
セバスチャン・コッホ (ゲオルク・ドライマン)
ウルリッヒ・トゥクール (ブルビッツ部長)
原題 DAS LEBEN DER ANDEREN 上映時間 138分
INDEXメニューINDEXは、こちら
関連記事
スポンサーサイト
Date : 2008-03-11 (Tue)
Category : 映画 ドラマ