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ブラックブック 2008 025
ブラックブック Review いわゆる戦争を題材にした悲劇的な一面だけでは無く,娯楽性を合わせ持ってる展開が魅力的です。
第二次世界大戦末期のオランダを舞台にナチスに立ち向かう抵抗分子の抗争とユダヤ人であるが故に家族や恋人未満の友人を殺され命からがら逃げ延びたエリスがユダヤ人富豪層の名簿であるブラックブックから真相を解明するまでの物語です。
ポール・ヴァーホーヴェン監督がハリウッドの制約から逃れる為にオランダで撮影されたとあって自由度が高い作品です。その流れかエリス(カリス・ファン・ハウテン)の生き方にも表れていると思います。大概レジスタンス(抵抗分子)に入り僅かながらも武力を得たらばチャンスが有れば有無を言わせず短絡的に力で親兄弟の復讐を果たそうとするのが普通ですがエリスは,感情を制御しドイツ軍人なら全て悪だと決め付けずに後ろ向きに過去を顧み過ぎる事も無く誰もが忌み嫌う様な仕事でも楽しげに意気揚々としてる姿が心地良い。
歌手として活躍してたせいかオープンな性格で髪を金髪に染め上げアンダーヘアーにも着手してる最中に来客があっても動じずに黙々と作業を続けるのが面白くもありヴァーホーベンらしさでしょう。
後半の怒涛の展開も際立ってますね。一瞬こちらも騙される裏切り者の画策,ドイツ人将校との悲哀,バイオレンスチックなシーンも多発し収容所での同国人からの侮辱や最大級の屈辱。極め付けはインスリンとチョコレートの関係でした。糖尿病患者がインスリンが無いときは,チョコレートをかじるのは,映画などで見聞きしましたが,こんな一発逆転劇があったとは意外でした。
真犯人もうやむやにせずきっちり道理も通ってますしサスペンスとしても優秀だと思います。エピローグもエリスらしい振り返りの無い,さっぱり感が良かった。傑作でした!
それにしても迫害され続けたユダヤ人が今や,影で世界を牛耳ってる実態は,皮肉なものです。
私的評価marvelous STORY 1944年、ナチス占領下のオランダ。美しいユダヤ人歌手のラヘルは、南部へ逃亡する途中、ドイツ軍により家族を殺されてしまう。レジスタンスに救われたラヘルは、エリスと名を変え、髪をブロンドに染めレジスタンス運動に参加する。彼女はその美貌を武器にスパイとしてドイツ人将校ムンツェに近づいていくが、その優しさに触れ、次第にムンツェを愛するようになってしまう。一方、レジスタンス内では裏切り者の存在が浮かび上がる。
CAST ポール・ヴァーホーヴェン 監督
ジェラルド・ソエトマン
ポール・ヴァーホーヴェン 脚本
カリス・ファン・ハウテン (ラヘル/エリス・デ・フリース)
トム・ホフマン (ハンス・アッカーマン)
セバスチャン・コッホ (ルドウィグ・ムンツェ)
デレク・デ・リント (ヘルベン・カイパース)
ハリナ・ライン (ロニー)
ワルデマー・コブス (ギュンター・フランケン)
ミヒル・ホイスマン (ロブ)
ドルフ・デ・ヴリーズ (公証人スマール)
ピーター・ブロック (ファン・ハイン)
ディアーナ・ドーベルマン (スマール夫人)
クリスチャン・ベルケル (カウトナー将軍)
原題 ZWARTBOEK 上映時間 144分
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Date : 2008-02-09 (Sat)
Category : 映画 サスペンス