No985 王妃マルゴ 2011年039

STORY
16世紀末、野望と陰謀、近親相姦が渦巻くフランス宮廷。国王シャルル9世(ジャン・ユーグ・アングラード)がいるヴァロワ家の旧教徒であるカトリック側とブルボン家の新教徒プロテスタント側の内乱が起こっていた。国王シャルルは病弱で、母親であるカトリーヌ=デ=メディシス(ヴィルナ・リージ)に実権を握られていた。彼女には三人の息子の他に美しい娘マルゴ(イザベル・アジャーニ)がいた。マルゴは美貌と知性、気品を備えていて兄弟や気に入った男たちを次々に誘惑していたが母の画策で新教徒勢力の指導者的存在であるナバール公アンリ(ダニエル・オートゥイユ)と結婚することになった。1572年8月18日パリで結婚の儀が行われたがマルゴは初夜の日をアンリと過ごすことを拒否し深夜街角で出会った美青年と荒々しくセックスを交わす。青年は新教の青年貴族ラ・モール伯爵(ヴァンサン・ペレーズ)であった。



感想
イザベル・アジャーニ主演の歴史スペクタル。王妃マルゴの伝記に終わることなく，１６世紀フランスの世相や世俗が分かり易く伝わって来ます。いつもならば，イザベル・アジャーニの独壇場で突き進むのですが，『王妃マルゴ』ではジャン・ユーグ・アングラード，ダニエル・オートゥイユ，ヴァンサン・ペレーズと骨っぽいメンバーが揃ってイザベル・アジャーニの驚異の演技力や美貌以外にも見所満載です。


前半の餓えに餓えている，マルゴをイザベル・アジャーニが究極妖艶パワーで体現，ラ・モールとの出逢いは不純ながらも高貴な美しさが漂ってました。


この時期のフランスといえば宗教絡みの殺戮が多かった事で有名ですが，顔も知らず別れたマルゴとラ・モールを否応無しに巻き込むバルテルミーの虐殺。カトリックとプロテスタントとの間の火花が一気に燃え広がった恐ろしい惨事。惹かれ合う２人の間には身分の壁の他にも宗教という分厚い壁が立ちはだかり，更に狂気の近親相姦蔓延の王家にて兄王シャルル９世の狂おしいマルゴへの愛，政略結婚で結ばれたナバール公アンリも加わり，針の穴を通すかのような確率でしか添い遂げる術は無いとか不憫に思えます。身分が高いからといって何でも自由自在に事を動かせる訳では無く世知辛い時世だったようです。

王家の中の決して明るみに出来ない暗殺者の名をひた隠す為に仕立て上げられ最悪の形で幕を降ろされる，マルゴとラ・モール。儚い。陰湿な陰謀によって何人命を落としたことか計り知れないのですが，史実とは違いが発生しているので注意が必要です。


大きな歴史の中の埋もれたドラマを掘り起こしたかのようで臨場感ありました。

私的評価
Very Good movie

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